経営再建中の米保険大手AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)が進めている、日本を中心に事業展開するアリコの売却が見送りになる可能性が出てきた。8月にAIGのCEO(最高経営責任者)に就任したロバート・ベンモシェ氏は、海外メディアに「納得できる価格でなければ急ぐ必要はない」と発言した。売却交渉は米保険大手メットライフが最有力となっているが、売却額には大きな開きがあるとみられ、今後も継続保有し、上場を目指すとの観測も浮上している。
ベンモシェCEOは、米紙ウォールストリート・ジャーナルの取材に対し「現時点ですべての事業を売却しても公的資金を返済できない」との見解を表明。前体制が示したアリコなどの生保事業を売却し、損保事業に特化する方針についても、再検討する姿勢を示した。
AIGは最大約1800億ドル(約17兆円)の公的支援を受けて、米政府の管理下で再建に取り組んでいる。
昨年10月には、アリコのほか、日本単独事業であるAIGエジソン生命保険、AIGスター生命保険などの生保事業を売却する意向を表明。公的資金返済のため、売却交渉を急いできた。
しかし、日本のAIG関係者は「アリコについては風向きが変わった。ベンモシェCEOは市場の回復を待って、売却か上場かを判断する長期戦に出るのでは」とみている。
複数の関係者によると、アリコの売却交渉で最有力候補となっている米保険大手メットライフの幹部が8月に来日し、アリコの売上高の7割を占める日本法人のアリコジャパンについて、交渉を行ったという。しかし、メットライフが提示した価格に対し、AIGは納得しなかったという。
アリコジャパンは「売却でも上場でも、AIGからの分離独立を進めていることに変わりはない。株主の変更による契約者への影響はない」としており、売却と上場の両にらみで対応していく構えだ。
一方、一括売却するエジソンとスター生命は「アリコよりは早期に決着する」(関係者)とみられている。
ただ、米保険大手プルデンシャルとの交渉は最終段階に入ったとされるが、想定以上に長期化している。新規契約の低迷など経営への影響も出ており、両社ではホームページや営業社員の名刺からAIGの名前を外すなど、こちらも“脱AIG”を進めている。
(9月2日 フジサンケイ ビジネスアイ)
2009年09月02日
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